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銀河幻風ハクレイガー・成敗2「GJ9、晴れて旅立ち」
時は2000と200年、幻想郷に罪の嵐が吹き荒れた!
どっちもこっちもあっちもそっちも見るに耐えない無法妖怪(もの)!
今こそ出番だGJ9、銀河幻風ハクレイガー、常世の悪をぶった切る!




博麗神社、というよりレイロック邸と一体化したハクレイガーの中は、さながら宇宙移民船のような形相であった。
「凄いな……これならどこにだっていけそうだ」
中を見て驚きを隠せない咲夜に、お早が近づいてきた。
「月にいる八意(やごころ)コネクションと戦う時にも便利よ、宇宙だって飛べるんだからこれ」
「宇宙か……」
かつて、咲夜は永夜抄の一件で宇宙に行った事がある。
八意永琳が月を隠した事件で、本物の月を空に戻すために宇宙に行った事がある。
いや、今思えばあれは本当に宇宙だったのだろうか?あの時辿り着いた月も結局は、八意永琳の作り出した偽物であったのだから……。
「咲夜さん、どうかしたの?なんだか顔色が変よ?」
「あ、いや、すまない……ただな。優曇華院、鈴仙・優曇華院・イナバは今も生きているのだろうかと」
本当は、そんな奴のことなど微塵も考えていなかったが。
「うどんげ?」
「月のウサギだ」
「聞いたことがないわそんな人……昔話に出てきたような気はするけれど。咲夜さん、あなた何者?まさか本当にあの十六夜咲夜だとでも言うの?」
それを聞いて咲夜は、自分の素性をレイロック、レミィ以外に話していないことを思い出した。
「そういえば話していなかったな、私が何者なのか……お早、全員をハクレイガーの司令室に呼んでくれ」
「わかったわ」

司令室。レイロックとレミィを含むGJ9の全員が集まった。
「なんだなんだ?」
「咲夜さんが自ら話があるとか」
マクスがお早と話していると、咲夜が咳払いをする。
「諸君、私は200年前の人間だ。と言ってもレイロックとレミィは既に知っていると思うが」
それを聞いたお早は純粋に驚いたが、マクスはやはりそうかと言った表情になった。フランはといえば事の次第をよくわかっていないらしく、レミィに何を言ったのか聞いている。
「本当なのね、咲夜さん?」
「やっぱり俺の予想通りだった、ちょっと時代についていけてない感があったんだよねぇ」
「私はこのコネクションの時代を終わらせるために、200年前にコールドスリープを施され、そして一ヶ月前によみがえった!ついに、その時が来たのだ……」
「咲夜さんの主人だった吸血鬼、レミリア=スカーレットの能力で、ですか?」
フランをおんぶしてあやしていたレイロックが尋ねる。
「そうだな。お嬢様は私に未来を切り開いてほしいと命令した」
「まぁ事情はよくわからないけれど、とにかく咲夜さんと俺ちゃん達が力を合わせないと、こんな嫌な時代を終わらせることは不可能だってことだな?」
「そうだ、これはお嬢様が、そして私自身が決めた運命だ!」
何処からか取り出した紺色のサングラスをくるくると回してから、装着する咲夜。
「いいぜ、文句はない」
「私たちもその運命って奴に乗っかりましょ!」
「イェイイェーイ!」
「ありがとう皆。……しかし、私が呼べと言った奴以外の者もいるな。隠れてないで出てきたらどうだ?」
瞬間、司令室の入り口に突如として銀のナイフが現れ、壁に突き刺さる。と、同時にどこか怪しげな雰囲気の女が悲鳴をあげて現れた。

「しょえぇぇ……」
「あれっ、確かに呼んだ覚えのないお客さんですこと」
その女はかつて、紅魔館の門番の仕事に就いていた妖怪『紅美鈴(ホン・メイリン)』によく似ている。
「美鈴?いや、違うな。彼女は200年前、妖精コネクションとの抗争で最初に犠牲になった……誰だお前は?」
「へへ、あっしは情報屋を営んでいるミスズンと言うものでして……GJ9の皆さんにコネクションの動向情報や仕事の依頼などを、ちょっとね、こう伝えようと思いましてね」
「我々に肩入れしようという事か」
ミスズンが手をもみながら咲夜にすりよるのに対して、咲夜自身はあくまでも冷静に取引に応じるつもりでいる。
一方、レイロックはといえばミスズンの態度に不審なものを感じていた。
「いいのか咲夜?こいつ、裏で何をたくらんでいるかも解らんぜ。何せミスズンといえば裏の世界では有名だからな」
ぎくりとするミスズン。彼の言うとおり、この情報屋はコネクションの間と間を行きかう、いわばスパイでもある。貧弱そうな見た目によらず、凄腕の暗殺者であったとも噂されている。
「まさかミスズンさんよぉ、俺たちの情報を流してコネクションに潰させようって魂胆じゃああるまいね?」
マクスもミニ八卦炉を取り出して構える。
「いやぁいやぁいやぁいやぁ、そんなまさか!あっしはGJ9の皆さんの味方でして、決してコネクション側に情報を渡そうだなんて!」
「レイロック、マクス、抑えてくれ。私は今、彼女と商談しているんだ」
「ちぇっ、仕方ないな」
「ミスズン、そのつもりは決してないのだな?」
「はいはいはいはい、あっし皆さんの戦いっぷりを見てすっかりほれ込んじゃったからには、コネクションから情報を抜き取っても、あっちにこちらさんの情報を渡すだなんてことはいたしませんぜ!」
「ではそれを誓ってもらおうか」
「へい、もちろん」
ミスズンが待ってましたと言わんばかりに、契約書らしき書類を取り出す。
その書類の内容を見て、突如として咲夜は激昂し、ナイフを契約書に突き刺す!
ナイフは書類はもちろん、机を軽く貫通し、危うく書類を置いたミスズンの指を切り裂くところであった。
「あわ、あわ、あわわわわわわ……」
「お前はこのような契約を、私たちと結ぼうとしていたのか?」
レイロックたちがその書類の内容を見に行く。その内容は、GJ9にとっては非常に不利なものばかりであった。
「お前って奴はやっぱり信用ならないな!流石裏社会のミスズンさんは違いますねぇ!」
「めめめめ、滅相もございませぬぅ!!その書類はちょ、ちょっとした冗談だから許してね、ほんとよほんと……こちらが、本当の書類でござんす」
改めて書類に目を通す咲夜。今度はふむ、と一つため息をついてから何も言わずにはんこを押した。
「この内容ならば私たちも十分に動ける」
「お気に召していただけまして感謝至極でござい……それで、早速契約が結ばれたので仕事の話にとりかかりたいんでやんすが」
「いいだろう」
呆れて頭を押さえるレイロック、マクス、お早を他所に咲夜は頷き、仕事の依頼を聞くことにした。
「へへぇ、では……。森の奥に住む妖怪の歌手から、かつての友を討ってほしいとの事でやんす」
妖怪の歌手と聞いて、咲夜とレイロックが同時に反応する。
「それはミスティア・ローレライのことか?」
「それって、まさかあの人気歌手のみすちーか!?」
そこで顔を見合わせる二人を他所に、ミスズンが話を続ける。
「その通りでやんすよ二人とも。彼女はかつての友がコネクションの主として好き勝手やっていることに、心を痛めているでやんす。自分のヒソウテンソクは一応持っている彼女ではありんすが、一人だけでは友を討つどころか、改心させることも難しいということで、あっしに一緒にやってくれる人達を探してほしいと持ちかけてきたんでやんす」
「へぇ~、あのみすちーが……そんな血生臭いことを考えてたとはねぇ」
「私もよく聞いてるわ彼女の歌、いいわねぇアレ。200年前とかもうそれ以前の時は酷かったっていうのは、都市伝説じゃないかしら」
マクスとお早もミスティアについて話し出す。
「待て、ミスズン。彼女もヒソウテンソクを持っているのか?」
「え、えぇ、そうでやんすが。今の時代は妖怪のだいたいはヒソウテンソクを所持しておりまっせ」
「むぅ……200年前とは大違いだな」
まさかあの夜雀までもがヒソウテンソクを持っていたとは咲夜は全く予想できていなかった。
「それで、彼女が我々とともに討ち取りたいという、『かつての友』とは……」
「へへぇ、それなんですがねぇ……あの妖精コネクションのボス、チルノでござんして」
四人に、そしてレミィとフランにも戦慄が走る!あの妖精コネクションのボス、チルノを彼女は討ち取ろうというのだ!
「やってやろうじゃねぇか……妖精野郎どもには、山ほど借りがあるんだ!」
「それに彼女は……200年前の時点で既に力ある妖怪であったが、そんな彼女でも今のコネクションには勝てないのだろう」
「そうなると、私たちの出番よねぇ……?」
「引き受けていただけるでやんすか」
「もちろんだ、あとは依頼量だが……」
きっちり、金は取る。
「彼女は手伝ってくれた勢力に300万円出すと言ってるでやんす」
「ま、彼女にとってはお小遣い程度かもなぁ。今や彼女の歌を買わない奴はいないし」
それくらいは当然だとレイロックは言った。
「悪くない、GJ9出撃だ。諸君、準備はいいな?」
「イェーイ!」

魔法の森。かつて霧雨魔理沙が住んでいたその場所に、ミスティアは住んでいた。ちなみにマクスは人里の方に住んでいる。マクスの二代前に引っ越したため、この家は何十年も空き家であったのだが、何年か前にミスティアがこの土地を買い取って以来、この家はミスティアの家になっていた。
200年前と余り変わらぬ情景の中に、ごく最近出来たであろう倉庫らしき建物が建っている。恐らくは、ミスティアのヒソウテンソクの倉庫であろう。
そんな魔法の森に、ハクレイガーがレイロック邸ごと飛んできた。
「ミスズンの連絡通りね……あれが噂のGJ9!」
既に妖精コネクションのヒソウテンソク「ダイセイヨウ」3機相手に対して、派手に暴れまわったことが噂になっていたようだ。
「うわぁお、まさか本物のみすちーに昼間から会えるだなんて思わなかったぜ……」
「こらこら、デレデレしないの。俺たちゃ仕事で来たんだぞマクスさんよ」
「へいへいわかっておりまっせ」
軽い会話が弾む二人を見て、ミスティアは霊夢と魔理沙の子孫ではないかと感づいた。
と、そこに咲夜が現れる。
「久しぶりだな、ミスティア」
「あなたは……ま、まさかあの時のメイド長!?どうして普通の人間のあなたが!?」
「死んださ、メイド長としての十六夜咲夜はとうに死んだ。今君の目の前にいるのはGJ9リーダーの十六夜咲夜だ」
「理由になってない気がするけどいいわ……本当に久しぶりね。幻想郷は見ての通り、何もかもが壊れてしまったわ」
人間と妖怪の区別がつかなくなってきた。しかも原因は、ただ単にヒソウテンソクの普及とコネクション時代の突入という事だけではないという事である。
「博麗大結界を締める二つの柱が失われているという事か……」
「そうね、そういう事。そこにいる華奢な坊やは博麗の子でしょう?男に生まれなかったってだけで巫女になれなかった……」
「ははは、そう言われるときついもんがありますね。でも大丈夫、巫女は姉がしっかりやってくれてますんで」
姉がいたのかと咲夜が聞く。というのも、あのダイセイヨウとの戦いから一週間経ち、その間にGJ9のメンバー全員が元いた住居から、ハクレイガーの中に引越し準備をしていたのだが……その間、レイロック以外の博麗家のものを見なかったからである。
「えぇ、まぁ。元あった博麗神社は諸事情で使えなくなったんでね。別にハクレイガーと一緒になったから、神社として使えなくなったわけじゃないよ。姉が巫女を勤めている新博麗神社は、残念だけど俺もどこにあるかは知らないんだ」
「じゃあ、あのボロ神社には……もう君しかいないのか?」
「今はGJ9の皆さんがいるけどね。そんなことより咲夜、仕事の話を。依頼人を待たせるのはよくないぜ」
言われてはっとした。
「そうだな、すまなかった」
「いえ、いいのよ……妖精コネクションへの戦闘は今夜仕掛けるわ」
夜なら自分の力もある程度は強まるから、勝機はあるかも知れない。と、ミスティアは言っている。
妖精コネクションの本拠地は、あの忌まわしき霧の湖の近くにあるという。その場所を地図で指し示され、咲夜は驚いた。
「ここは……紅魔館があった場所じゃないか!ミスティア、どういう事なんだ!?」
「あなたがいなくなったあと……あの紅魔館は妖精コネクションの本拠地になったのよ。チルノ達の手によって……紅魔館は妖精の天国になった。妖精コネクションのメンバーには、紅魔館でメイドとして働いていた裏切り者も大多数よ」
それを聞いて、咲夜の米神がぴくりと動く。自分の部下であった者がたくさん裏切り、あの妖精コネクションに加入したなど、許せるはずがない。
「チルノめ……増長もそこまでだ」
「作戦の決行は今夜よ……作戦を練るついでに、私のヒソウテンソクでも見てみたらどう?」
「うむ……ここで怒りを燃やしていても何も始まりはすまい。見せてもらおう」
「えぇ、その代わり、あとであなた達のハクレイガーも見せてちょうだいね」
「うーん、出来ればそうしたいけど、超でかくなるからなぁ……」
「あら、じゃあ戦闘中に確認するわ」
全員、ずっこけた。
「あっさりしてるな~……」

「うわー!凄いすごーい!!」
ミスティアの倉庫。倉庫内にあった彼女のヒソウテンソクを見て、レミィとフランがはしゃぐ。
小豆色と桜色で彩られた、かわいらしい外見のそれは、名を「サイレン」と言う。
「ハクレイガーよりも大分小さいわね……もしかしたら、ダイセイヨウよりも小さいかも」
冷静に分析するお早。確かに、サイレンの大きさは20mもない。
武装も、特にこれといったものは見えないが、背中にはスピーカーのようなものを沢山詰め込んだミサイルランチャーのようなものが背負われているのが見えた。
「みすちーさん、このミサイルは?」
「それ?いわゆる、あたしの歌を聞けって奴」
「へぇ?相手のコックピットに打ち込んで歌を聞かせて無力化しようって奴ね」
「そういう事。でも妖精野郎はセンスがないね。皆、私の歌を聴いても襲い掛かってきたよ」
「ふーん、ま、妖精ですからね……他に武装とかはないのかしら?」
「スペルカード具現化システムは……言わずもがな。翼の羽根はナイフになるし、あとは腕のドラムマシンガンくらいかな」
それでよく渡り合おうと思ったなとお早は、逆に感心した。
「ねー、みすちーおねえちゃん、ちょっとサイレンさんの中に乗ってみてもいーい?」
「いいわよー」
喜んでサイレンの中に入るスー姉妹の様子を見て、お早が少しだけ慌てる。
「エンジン起動させられたらどうするつもり!?」
「大丈夫、大丈夫、鍵は見ての通り、ほら」
ミスティアの胸元には、鍵のかたちをしたペンダントが。これがサイレンの起動キーになっているらしい。
「それに、人間の子供の力で壊れるような素材なんか使ってないしね!」
確かに、コックピット内の様子を見るに二人はいたずらなどする気配はないし、されたところで見るからに、妖怪でなければ動かせそうにないものばかりである。
一方、レイロックたちは元「霧雨魔理沙の家」である、ミスティアの家の中にいた。




銀河幻風ハクレイガー
銀河幻風ハクレイガー




「かつて俺ちゃんの先祖がここに住んでいたんだよなぁ」
感慨深いと言った様子で、ミスティアの家の中を探索するマクス。傍らにはレイロックも一緒だ。
「ちゃんと大事にしてくれてるみたいで、なんだかちょっと嬉しいぜ……」
昔、この家で魔理沙が魔法の研究をやっていたり、霊夢や仲間と一緒に馬鹿やったり……家には、そんな思い出の跡が残っている。
ミスティアは極力、その思い出を残すかたちで今、この家に住んでいる。
「ところで咲夜はどこに?」
先ほどから咲夜の姿が見えないことに気がついたレイロックが聞く。
「ん?粗方、ハクレイガーの中でしょ」
そっけない答えが返ってきた。
「そうか……」
ミスティアの家となってからも、何故かこの家には、霧雨魔理沙や、その子孫が残していったであろう品々が多く残っている。霧雨家はマクスの二代前にこの家から人里に引っ越してきたようだが、その頃までの品々が数多く残っているのだ。
「どうしてみすちーさんは、俺ちゃんの先祖の家に住んでるんかねぇ」
「さぁね、居心地いいんじゃないの」
「だろうねぇ、いたく気に入ってるみたいだし……うへへへへ」
ご先祖様の残した家を気に入ってもらえたのが嬉しかったのか、少し気味の悪い笑い方をするマクス。
「作戦の決行は今夜だな……」
「……そうだな」
「操縦は任せましたぜ」
「そっちも武器とかなにやらは任せるぜ」
「イェーイ」

そして、時刻は午前2時になった。
夜のミスティア邸に、咲夜が戻ってくる。
「あ、咲夜さん、どこにいってらしたの?」
「うむ、妖精コネクションの情報を集めていた」
「あら、そんなのわざわざリーダーのあなたがやることじゃないわ、いつでもこのファンシーお早ちゃんに頼んでちょうだいね」
「自分でファンシーと言うのも疑問だが、わかった。今度からお早、お前に任せる」
しかし自分でファンシーと言い張れるだけの美貌と可愛さをしっかり持っているのがお早である。
「は~い、喜んで!」
「レミィとフランは神社でお留守番だ、ヒソウテンソク同士の戦いは危ないからな?」
「えーっ……私たちだって咲夜さんと一緒に戦いたいよーっ!!」
「戦いたいよーっ!」
我侭を言う二人に咲夜の眼光一閃。
「ダメだ!戦いは君たちには似合わない!それとも死にたいのか!」
流石にこれは効いたようで、二人とも涙ぐんで我侭を言うのをやめた。
「うっ、ごめんなさぁい……」
「ごめんなさい……」
その様子を見た咲夜の顔が厳しい表情から一転、柔らかな笑顔になる。
「それでいいんだ、君たちに戦いで背負わされる業を渡すつもりはない。さぁ、神社の中で待ってるんだ」
「はい!」
「帰ってきたら美味しいものを作ってやるからな!」
「うん、楽しみにしてるからね!」
二人にご馳走を作ることを約束し、咲夜たちは、早速ハクレイガーのコックピットに乗り込んだ。

「いざ、行かん!悪の元凶を始末する!」
「イェーイ!」
コックピットに座った四人全員が、サムズアップ。ハクレイガー本体が神社と分離してサイレンとともに出撃する。
白い月の光に照らされて、二機のヒソウテンソクが夜の森を駆け抜ける。行き先は、霧の湖。
サイレンが助走をつけてバーニアをふかし空へ飛翔すると同時に、ハクレイガーもまずはハクレイシンクロンアルファで変形し、共に飛び立つのであった。
「あれがハクレイガー……あんな小さな車から、こんなに大きくなるなんて!ねぇ、そこの上に乗っていい?燃料節約したいの」
「大丈夫だと思いますよ、見た目以上の重量もありますし」
「ありがとう、助かるわレイロックさん」
ミスティアの駆るサイレンが、そのまま戦闘機形態のハクレイガーの上に乗り、さながらフライングアーマーに乗るガンダムMk-Ⅱのようなかたちになった。
二機のヒソウテンソクは夜の空を飛ぶ。全てはかつての友、悪の元凶を討つために。

妖精コネクション本拠地。
「……何?あのGJ9がこちらに向かっているだと?」
かつてレミリアが座っていた立派な椅子に座っている、水色の長い髪の妖精が、部下の妖精からの報告を受けていた。
「調度いい、我らが妖精コネクションの力を存分に見せてやれ。歯向かう狼の牙は抜き去るべきだ……」
恐るべき威光で妖精たちを即座に動かすこの妖精、もちろんチルノである。
チルノの命令を受け、多数の妖精たちが無言で次々とダイセイヨウに乗り込んでいく。その数、実に20機。そしてチルノ自身も自ら、自分をモデルにしたヒソウテンソク「マルキュウ」に乗り込む。
と、そこにあの緑髪のサイドポニーの妖精が現れる。
「チルノ、本気で……」
「止めるな、今更……その事はもう、200年前に決心した。一度も揺らいだことはない」
「しかしそのせいでサニーやルナ、スターは!!」
「ならばお前も後を追うといい……私は、GJ9の牙を抜く!」
「いや、後など追わないよ……私もチルノと共に行く。GJ9には部下が多数やられている、このまま黙って自害する私じゃないさ」
サイドポニーがチルノと一緒にヒソウテンソクに乗り込む。複座式になっているマルキュウは恐らく、チルノとこのサイドポニーとが二人で動かすタイプなのであろう。
そして、霧の湖のほとりから、大量のダイセイヨウを引き連れて今、マルキュウが飛び立つ!!

「おおっと、敵さんもなかなか鋭い」
「ミスズンが情報を横流ししたんじゃないだろうな?」
敵の迎撃態勢を見て早速、あの情報屋を疑うレイロックとマクス。
「それでしたらもっと数が多いんじゃなくて?」
「わからんぜ、アレがコネクションの精一杯かもしれん」
「いずれにしろ、ここで終わらせることに変わりはない!ミスティア、もういいだろう」
ハクレイガーの上に乗っているサイレンに通信をかける咲夜。
「えぇ、ありがとう。ここからは分担して各個に敵を倒しましょう」
「あぁ」
間もなくサイレンがハクレイガーから飛び降り、バーニアをふかして飛翔する。
「よぉし、ハクレイシンクロンマキシム!」
サイレンの後ろでハクレイガーが更に巨大化し、ロボット形態に変形を完了する。ハクレイガーは地上から、サイレンが空中からコネクションを迎撃するのである。
「妖精は幻想郷の覇権を握るべきではない……妖精は自然の象徴、お前たちはとうに、幻想郷の王だったのだ……!!」
悲しみと怒りと苦しみを吐露する咲夜。……少しだけうつむいてから、すぐに前を向き直り、レイロックに命じる。
「レイロック、ハクレイソードだ!」
「よぉし、ハクレイソード出ろッ!!」
虚空からハクレイソードを取り出して、向かってくるダイセイヨウを一網打尽にするハクレイガー。
しかし、敵の遠距離からの攻撃にはソードでは太刀打ちできない……。
「ハクレイソードからビームが出る機構があれば……」
「俺ちゃんに任せなレイロック、あいつらのどてっぱらに風穴あけてやらぁ!」
瞬間、レイロックからマクスに武器の指揮系統が移る。ハクレイソードが虚空に消え、代わりにミニ八卦炉のような銃口をたたえた、巨大なライフルが登場した。
「スパークライフルで勝負と行こうじゃないの!」
スパークライフルと名前をつけられたそのライフルを片手に、次々とダイセイヨウをビームで貫いていく。相手に避けさせることを許さない、その鋭い一撃はスペルカードルールから外れた、まさに「殺しのための一撃」であった。
サイレンもサイレンで、背中のフェザーナイフを次々と出しては、切り裂き、突き刺し、そして敵ごと爆散させて戦っていた。
「みすちーさんもやるもんねぇ。歌手だけじゃなくてヒソウテンソク乗りとしての才能もあるのね」
「我々も負けていられないな……む、アレは!」
敵を次々と倒していくハクレイガーとサイレンの前に、マルキュウが現れる。
「妖精コネクションに歯向かう狼とは貴様らのことだな、ようこそ、歓迎しよう!」
「チルノ、私を忘れたとは言わせん!」
咲夜が通信機ごしに怒りをぶちまけると、その向こうのチルノはからからと笑い出した。
「あぁ、覚えているとも。十六夜咲夜!200年の時を越えてあたいたちに立ち向かうその勇気は褒めてあげよう!だが、妖精コネクションは必ず幻想郷を支配する!」
「戯言は聞き飽きた、チルノ!200年前の借りを返す、貴様を倒すことは幻想郷の平和を取り戻す第一歩だ!」
怒りの眼光がチルノをモニター越しに捕らえる。
「ふふふ、やれるものならやってみろ……」
「チルノ!あんたに怒っているのはGJ9だけじゃない、この私ミスティア・ローレライや人里の皆、コネクションに与さない妖怪たち全てがあんたに怒りを抱いている!」
「みすちーか、懐かしいな……だがあたい達とあんたはとうに袂を別っている……」
言うが早いか、マルキュウがサイレンに襲い掛かる!
「妖精が幻想郷を支配する!人間も、妖怪も!引っ込んでいろ!」
マルキュウの作り出した氷の剣が、今まさにサイレンのコックピットを狙おうとしたその時、ハクレイガー怒りの一撃が炸裂する!
「やらせはしねぇ!」
氷の剣をマルキュウの右腕ごと貫き、その隙にサイレンが飛び立つ!
「マクスさん、やってしまいましょ!」
「お嬢様の仇、ここでとらせてもらおう!」
「イニシャルスパーク!」
瞬間、スパークライフルが「GJ9」の字を描くように次々と連続で弾丸を撃ち込んでいく!蜂の巣状態になり動けなくなったマルキュウ。
「マスタースパーク、ロード!」
ハクレイガーのコンピュータから恋符「マスタースパーク」のデータがロードされた。
「でやぁぁぁぁぁぁ!!」
そしてスパークライフルからあの、虹色のビームがマルキュウめがけて発射された!
「く、くそおおおおおおおおお!!あたい達はいつかまた、再び……!!」
断末魔をあげて大爆発を起こすマルキュウ。チルノとあのサイドポニーは運命を共にした。
「妖精コネクションの最期だ……!!」
「でも、妖精は実質不死身だからそのうちすぐ、復活しちゃうかもしれないでしょ」
少し不安げなレイロックの言葉に、それなら大丈夫とミスティアは答えた。
「私がチルノの媒体の管理をするわ。大丈夫、復活したらその時は二度とこんな馬鹿にならないように教育するんだから」
「なぁるほど、それならもし復活しても二度とコネクションは結成できないやね」
「ミスティア……お前、『子育て』に自信があるのか?」
先ほどのレイロックよりも、もっと不安げな様子の咲夜が聞くと、彼女は顔を赤らめて叫んだ。
「子育てだなんて、もう……!!そんなんじゃないって!……依頼、聞いてくれてありがとうね。おかげで馬鹿ばっかやってるチルノも大人しくなったわ……依頼料の300万円は、帰還したら渡すわね?」
「いや、こちらも恐らくはお嬢様の仇が取れたんだ……恐らくは、な。礼を言うのはこちらの方だ」
戦い終わって夜明けが来た。霧の湖に悲しみの雨が降る。ハクレイガーとサイレンは、かつて紅魔館であった妖精の根城を後にして、朝もやの中に飛び立つのであった。

(だが、本当にお嬢様たちを殺したのはチルノたちだっただろうか?いや、違う。紅魔館を襲ったのは、確かに妖精コネクションだ。しかし、もう一つ!何か、勢力があったはずだ。明らかに妖精コネクションではない、異質な存在が……)
「まだ、仇は取れていないのかもしれないな……」
ハクレイガーが再び神社とドッキングする際、咲夜はそんな事を呟いていた。
戦い終わって、祝いの夕食といったところであるが、咲夜の顔はその時になっても晴れなかった。
ご馳走を囲んで皆で賑わっているその最中に、咲夜は一人、夜景を見に外に出た。レイロックは、戦いの最中からずっと、いや、依頼を聞いたその時からずっと、咲夜の様子が気になっていた。
「咲夜……もしかして、その……」
「ん?レイロック、どうしたんだ」
「あっ、いや……」
追いかけて、問いかけて、聞き返されて戸惑うレイロックに、咲夜はワイングラスを片手に少し笑って答えた。
「だいたいわかっている。……お嬢様たちを殺したのはチルノじゃない。そうであったとしても、今回の戦いは妖精コネクションという、一つの勢力を叩き潰しただけに過ぎないさ。妖精は自然そのもの、自然を破壊しなければ倒すことなどできんよ。それに……お嬢様が自分の復讐を望んでいないことも解っている。飽くまでも私たちに望んだのは……」
「新たな時代を切り開くこと、でしたね」
「あぁ……たとえ仇に出会ったとしても依頼があるまでは手出しは出来ない。我々は私情よりも、困っている人を助け、おごれるものをくじく事を優先する」
それが我々の運命ならば、何処までもやってやるのがGJ9かとレイロックは考えた。
運命に抗うのも悪くはないが、悪い運命でなければ、受け入れて貫き通すのも悪くはない。
「すまなかったな。レイロック」
「いえ、謝ることじゃないですよ。さぁ戻りましょう、皆待ってますよ」
「あぁ……」

かくて初めて依頼を成し遂げ、悪の元凶一つくじいたハクレイガー。森の歌姫の気がかり晴れたが咲夜の心はまだ宵闇。コネクションはまだまだ沢山、急げ僕らのGJ9、幻想郷の明日は君たちの手にかかっている。人の幸せ守るため、銀河幻風ハクレイガー、常世の悪をぶった切る!
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【2010/12/23 20:44】 | 東方ノベル | トラックバック(0) | コメント(0)
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Author:葛城修
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男 1989年3月21日生まれ←野上良太郎こと、佐藤健さんと同じ誕生日です
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ここは全年齢対象ブログですが、実際小説などにはかなりのハイティーンネタが含まれています。地獄
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越えられない壁を越えた者の数

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